夜明けを待つ者

考え事と物語

アイスクリーム

買い物に寄った近所のスーパーマーケットで、おじいちゃんが女の子にアイスを買ってあげていました。

 

じいちゃん、じいちゃん、わたし、このアイスにする!

 

そう言いながら女の子が手に持ってたのは、2個くっついてるタイプのアイス。つまりパピコ

 

なんでこのアイスにしたかわかる!?

 

うん、うん、と適当に聞き流してるじいちゃん。

 

あのね

 

うん

 

なんでかっていうとね

 

うん

 

帰って一個食べて、お風呂上がりにもう一個食べれるから!

 

 

じいちゃん、爆笑。

 

 

私も笑っちゃいました。

 

なんか私に似てる女の子でした。

ポッチャリしてて、

食い意地が張ってて、

おじいちゃんとのお出かけにわくわくしてて、

おじいちゃんが大好きで。

 

 

ときどき思い出す、母方のおじいちゃんとの思い出がある。

あれは何才くらいだったんだろう。

きっと5〜6才。

毎夏、東京に住む母方の祖父母の家にかなり長い日数、遊びに行っていた。

 

たぶん、お風呂屋さんに行ったんだと思う。

 

覚えてるのは、帰りに寄ったどこかのお店のカウンター。

飲み屋だったのか、屋台だったのか。

 

私はおじいちゃんとパパの間に座ってた。

 

おじいちゃんとパパがどんな話をしてたのかはわからない。

 

でも一個だけ、鮮明に覚えてる、おじいちゃんの言葉。

 

「マリンは、俺の宝物だから」

 

そう言いながらおじいちゃんが頭を撫でてくれたことと、隣でパパが嬉しそうにしてたことと、目の前のカウンターに水が入ったコップが置いてあったこと、それから、おじいちゃんにお風呂屋さんで買ってもらったメロンの形のアイスを持ってたことを覚えてる。

アイスは食べた後だったのか、食べる前だったのか、覚えてない。

でもアイスの味は覚えてる。

おいしいよね、あのメロンの形のカップに入ってるメロンアイス。

 

おじいちゃんは私のことをマリンって呼んでいた。

なんでなのかな。

でもマリンって呼ばれるの、好きだったな。

 

スーパーマーケットのおじいちゃんと孫ちゃんを見たら、おじいちゃんが恋しくなってしまいました。

 

カッコつけで、

サングラスが似合って、

愛飲の銘柄はLARKで、

(私が子供の頃はセッターだった気がする)

気難しくて不器用だけど

優しいおじいちゃん。

 

亡くなった時、おばあちゃんが

 

「死んでまでこんなにハンサムじゃ困っちゃうわねぇ」

 

って言ってたのがすごく記憶に残っている。

 

そう、おじいちゃん、ハンサムだった。

 

 

私に似てるポッチャリちゃん、

2個目のアイス食べたかな?

きっと夏休みなんだね。

おじいちゃんとたくさん遊んで楽しい夏を過ごしてね。

 

 

おしまい