夜明けを待つ者

考え事と物語

過去の話

小学生のとき

大好きな友達がいた

口が悪くて、かなり乱暴で、

けっこうすぐ手とか足が出る

めっちゃ顔の可愛い

女の子

 

彼女とのつきあいで

子供の頃のわたしの世界は

かなり広く深く広がった

 

5年生のとき、

転校することになって、

最後の登校日、いつもみたいに一緒に帰った。

彼女は、今日遊べる?って聞いてきた。

でも私は、別の友達と遊ぶ約束をしていた。

それまで一度も遊んだことのない

たいして仲良くもない子達との約束だった。

この日、彼女と遊べなかったことを

私はいまでも本当に後悔している。

彼女の、それまで見せたことのない、

少し寂しげな表情が

脳裏に焼き付いて離れない。

 

中学生になって、

閉鎖的な小さな学校で

やりたくもないテニス部に入らされて、

私は毎日が最高につらくなって、

早くこの悪夢から覚めたいと

毎日願っていた。

転校してからいままでのことは全部悪い夢で、

次に目が覚めたら、

全部全部元に戻っているのではないかと

本気で思っていた。

 

高校受験に失敗した私は

転校前に住んでた市にある

定員割れの

偏差値50にも満たない

高校に入学した。

最悪な気持ちだった。

こんな低レベルな高校に入ることになるなんて、と。

とにかく中学の同級生たちと

離れたかったのだ、その時は。

 

入学してみると、

転校前の小学校の友達がたくさんいた。

突然、目が覚めたような気持ちになった。

やっぱりいままでのことは

ぜんぶ夢だったんだ。

私はこの街に戻ってこれたんだ。

 

1年目、例の大好きな友達と

偶然にも同じクラスになった。

 

最初の数日は、

少しぎこちないけど、

普通に会話した。

 

1週間くらいたったとき、

突然、無視されるようになった。

 

理由は分からずじまいだけど

当時のわたしは大いに混乱して

大いにきずついた。

 

それでも

入った部活の中で、また

別の大好きな友達ができて

徐々に心の傷は癒えていった

 

でも

困ったことに

2年生の後半頃から

その子にまで無視されるように

なってしまった

 

いったいわたしのなにがわるいのか?

 

思い当たることは

今でこそいくつかあるけど

 

当時のわたしは

 

どうして2度もこんな思いを

しなくてはならないのか?

 

という絶望に心を支配されて

 

それはもう

最悪に病んでいった

 

気づいたら

笑うことを忘れ

体重は41キロ

些細なことで

一瞬で過呼吸になるようになり

他人の感情にあまりにも過敏になった

 

見兼ねた学校側が母を説得し

心療内科に通うことになった

病院の風景はぼんやり覚えている

でも診察の内容は

まるで記憶にない

 

それでも出された薬を飲むうちに

徐々に、

なんとなく気分が晴れやかな日が増えてきた

 

ある朝、突然、

車の窓から見える田んぼが

ものすごく鮮やかな

緑色をしていることに気がついた。

びっくりして空を見たら

めちゃくちゃ青くて

これまたびっくりした。

 

わたしの世界に

色が戻った瞬間だった。

 

今でも鮮明に覚えている。

世界から色が消えていたことに

気づいた瞬間。

 

別になにも解決していないし

なにも変わっていないし

なにも元に戻っていない

 

でも

なんか元気だ

 

不思議な感覚だった。

 

元気になった私は

2人の大好きな友達と

元の関係に戻ることを諦めた。

諦めることで2人のことをまた好きになれる。

もう、その方法しかなかった。

 

今はもう

2人ともどこでなにをしているのか

まったくわからない

 

きっと二度と会うことはないけど

 

大切な思い出がたくさんある

 

どうか元気に幸せに

過ごしていてほしいです。

 

私は元気だよ。

気にしてないと思うけど。

 

お互い

幸せになろうね。

 

おわり。